エディン・ラセル(1502-MT6)PCクエストノベル(4人)[文章:MTS]


 トーブ家と機械の遺跡

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 今回の冒険者
【整理番号 / 名前 / クラス】
【1502/エディン・ラセル/男/17才/技術者】
【1921/クインタ・ニート/男/25才/護衛部隊員】
【3484/田中・男/男/32才/異界職】
【3502/レンヌ・トーブ/女/15才/異界職】
(キャラクター名は整理番号順です)
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 1.水の底へ

 とある水の底。
 素潜りで飛び込むには、少し深い場所。
 機獣遺跡は、そんな場所にあった。
 いつからあるのか、よくわからない遺跡である。
 1000年も前の古代文明の遺跡とも言われているし、遺跡というからには、昔からあったはずである。
 でも、本当に昨日からあったのだろうか?
 はっきりと答える事は、誰にも出来ない。
 そんなものである。
 ソーンとは、夢と現実の間の世界なのだ。
 今、機獣遺跡を訪れた一行も似たような者達だった。
 いつからか、彼らはソーンに迷い込んでいる。
 異界の服を着た四人、エディン・ラセル、クインタ・ニート、田中・男、レンヌ・トーブの四人である。
 いや、迷い込んでいるのはなく、自分達の意思で来たのかも知れない。
 ともかく、彼らはソーンに確かに存在していて、水の底にある機獣遺跡の近所まで着ていた。

 エディン:「へぇ、ここは何だか懐かしい雰囲気がしますね」
 
 少し狭い場所で、何となく馴染みがある光景に不思議そうな顔をしているのはエディンだ。
 色々な世界から、色々な人や色々な物が迷い込み重なり合っているソーンでは、むしろ、見た事も無い景色を見る事の方が多い。
 機械的な金属で構成された機獣遺跡の建物は、剣や弓よりも、銃やドリファンドの方が似合う光景だった。それは、彼らがよく知っている世界である。
 
 レンヌ:「まあ、たまには故郷に似た風景の所を探索するのもいいわよね」

 さて、入り口は、どこかしら?
 レンヌがきょろきょろと、辺りを見ている。
 彼女と他の男達は、自前のファクトリーで造った潜水艦のような物に乗っている。
 ゾゴジュ・アッグと適当に名づけた潜水艦は、4人で乗るのには少し狭かった。

 田中:「どーせ、売り物になる物が無いか探すのが目的だろうが」
 クインタ:「そーだ。そーだ」

 トーブ・ファクトリーの関係者Aと関係者Bが、何やらぶつぶつと言っている。そこの主任代行…レンヌは、二人の声が聞こえない振りをして、潜水艦の中から遺跡の外周をじーっと見ていた。
 さすがに遺跡というだけあって、現在では人の住んでいる気配は無い。
 ただ、人が住んでいたという事は、人が生活していた痕跡は残っているだろう。何か面白い物があるかも知れない。
 遺跡の中へと入りたいところだが、どこかに入り口は無いだろうか?
 しばらく、遺跡の入り口を探していた四人は、その中央付近にさらに深く潜っていく穴を見つけた。
 
 レンヌ:「じゃあ、他に行く宛ても無いし、あそこ行ってみましょうか?」
 
 『他に行く宛ても無い』という言葉には、皆、同感だった。
 四人は、潜水艦で穴へと潜っていく。それは、さらに暗い湖の底へと向かう水路のようだった。
 潜った高さに比例して、多少、潜水艦にまとわりつく水圧は高まっていくが、それ程の問題にはならなかった。
 やがて、水路の向きが変わってきた。湖の底へと向かっていた暗い穴は、徐々に角度を緩めて、いつしか横向きになる。その後も角度を変え、気づけば垂直に上に向かう穴になっていた。
 
 クインタ:「ん、明るくなってきたみたいだな」

 見上げれば、天井の方から光が差し込んでくるように見えた。
 しばらく黙々と潜水艦に乗っていた一行の口が動き始める。

 田中:「出口だな、きっと」
 エディン:「いえ、むしろ入口かもしれないですよ」

 どっちの言葉も間違いでは無い。水路の出口は、遺跡の入り口という事だ。
 段々と、水路の先に見える光は近づいてきた。
 それが遺跡の中からの灯りだと確認出来たのは、水路の終わりがはっきりと見えた時だった。
 四人は潜水艦を降りて、遺跡の内部に入った。
 
 2.機獣遺跡

 石で作られた建物では無い。
 叩いてみると硬い音が響く壁や床は、確かに金属で出来ていた。
 
 エディン:「何だが、遺跡ごと、僕達の世界から飛んできちゃったみたいな場所ですね…」

 中に入ってみると、改めてそんな気がした。
 潜水艦を置いた水路の出口から、少し、通路を歩いてみる。
 遺跡の内部は廃墟にしては随分と明るかった。あまり汚れた様子も無い。廃墟にしては、少し様子がおかしくもあった。
 だが、みんな、そんな事はあまり気にしていない。
 
 レンヌ:「じゃあ、とりあえず、売れそうな物とか材料に出来そうなものがあったら、片っ端から持って帰りましょうね!」

 特にレンヌは、手ごたえがありそうな遺跡なので喜んでいる。
 通路を進むと正面に扉があったので、ひとまず開けてみた。
 その先は、再び通路。幅は3メートルほど。4人で並んで歩くには、少し狭い。
 そればかりか、先の方で十字路のように、道が分かれているようだった。

 田中:「なんか、迷路みたいじゃないか?」
 レンヌ:「ここって、ナビは効かないですよね、やっぱり…」

 遺跡の中は、幾つも道が分かれているようである。
 こんな時、乗り物に付けておくと行き先や現在地を表示してくれるような道具があれば便利なのだが、そんなものは無かった。

 クインタ:「よし、がんばれ、エディン。あんたの出番だ」
 エディン:「はぁ…」

 ノートPCを取り出したエディンが、何やら図を作成し始めた。
 迷子にならないための地図作りである。

 エディン:「バッテリーが切れないと良いんですけど…」

 いつ終わるかわからない調査に、ノートPCのバッテリーの残量が、気がかりだった。
 地味に地図を書きながら、四人は金属で出来た遺跡を進んだ。
 
 田中:「しかし、誰が手入れしてるんだろうな、この遺跡…」

 明かりが灯され、余り荒れた様子も無い廃墟に田中が呟いた。
 歩けば歩くほど、まるで人が住んでいるかのように手入れされている遺跡の様子は疑問だった。
 何回か通路を曲がって進むと、その疑問が解ける時がやってきた。

 クインタ:「あいつじゃないのか?
       遺跡の修繕をしてる奴って」
 
 通路の先の方に居る人影を、クインタが指差す。
 随分と背が高そうな人だ。3メートル位の身長がある。銀色の肌は、血が通った生物には見えなかった。天井に手を伸ばして、何やら灯りをいじっている様だ。

 田中:「実際、今、修繕してるしな…」
 レンヌ:「してますよね…」
 
 黙々と天井の灯りを治しているロボットを四人は眺めている。
 と、ロボットの視線が、四人の方を向いた。
 緑色の光で天井を見ていた目が、今は、赤い光を放っている。

 レンヌ:「何か、目が赤くなって、こっちを見てるんですけど…」
 エディン:「働きすぎて寝不足…じゃないですよね」
 レンヌ:「あ、そういえば、ちょっと目が赤いわよ、エディン」
 
 あはは、ロボットが、こっち見てるね。レンヌとエディンが、何か話している。決して現実逃避では無い。
 あんまり話が通じる相手にも見えないので、クインタと田中は、それぞれ武器を構えている。
 クインタの武器はガナックスという銃斧。斧付きの銃というか、銃付きの斧である。元々の世界でも使っていた物だ。
 一方、田中はソーンで手に入れた力を使っている。彼の体を覆っている青銅の鎧は、聖獣の力が宿っているらしい。
 ロボットの赤い目が、一際輝いた。
 途端に、田中の鎧が釣られるように熱を帯びて赤くなった。

 クインタ:「うお、熱線か!」
 レンヌ:「狙われたのが田中さんで良かったですね…」
 
 ロボットが熱線を放ったようだ。結構熱い。
 
 エディン:「ウィンドスラッシュ!
       …て、効くんですかね?」

 エディンが真空の風を放つ。ソーンで覚えた技だ。だが、付け焼刃に近い真空の刃が効いた様子は無かった。
 ロボットは、そのまま熱線を放ちながら4人に近づく。
 だが、それ程の恐怖を4人とも感じては居なかった。
 ソーンの多くの住人にとっては、あまり馴染みの無い金属の塊。何だかよくわからない力で動いているロボットも、彼らにとっては、馴染みが深い。
 彼らにとっては、むしろ、ソーンの多くの住人にはお馴染みの普通の魔物の方が、あまり見た事が無くて苦手な相手だった。
 
 レンヌ:「がんばれ!田中さん!」
 田中:「いや…がんばるけど」
 
 聖獣装具の力で盾役に徹している田中を、レンヌが励ましている。
 クレンタの何度目かの斬撃が、ロボットを活動停止状態にしてのは、それからしばらくした後だった。
 パチパチと、何か電気が弾けるような音を立ててロボットが倒れている。

 レンヌ:「じゃ、これ、持って帰って調べましょう。
      エディ、後はお願いしますね!」
 エディン:「は、はあ…」
 

 レンヌがにっこり微笑んだ。
 …このロボットを、ここで分解するんですか?
 エディンが、少しため息をついた。
 持ち帰って解析して、量産…とまでは行かなくても、何か参考になる技術等が見つかるかも知れない。
 普通の人間にとっては単なる壊れたロボットも、ファクトリーの人間にとっては財宝の1つであった。
 遺跡の通路のど真ん中で、エディンが黙々とロボットを分解している。
 それから、大した時間も経っていない後の出来事だった。
 
 クインタ:「おい、また何か来てるみたいだぞ…」
 田中:「ロボットを倒したから、別のロボットが様子を見に来たんじゃないのか?」

 トーブファクトリーの関係者Aと関係者Bが、何やらぶつぶつと言った。
 なるほど、何か大きな金属音が近づいてくるのが聞こえる。
 
 レンヌ:「あ、あら、エディ、まだ時間かかります?」
 エディン:「うーん…結構大きいですからね」

 全長3メートル程のロボットを分解するのは、5分や10分では無理だ。

 田中:「あんまり連戦だと、鎧が持たないぞ」

 先程のロボットの熱戦やら何やらを受け続けた田中の聖獣装具は、ダメージが残っているようだ。
 不思議な力が働いているだけに、自然に鎧の傷も治ってはいるようだが、すぐに元通りというわけにはいかないようだ。
 
 レンヌ:「むむ、もうちょっと位なら、平気ですよね?」
 田中:「まあ、多分」

 エディンの作業が終わるまで、もうちょっとがんばってみる事にした。
 先程と同じような戦いが繰り広げられる。
 クインタと田中が戦っている。たまに、レンヌが先程のロボットの余りパーツを拾って投げつけたりしている。
 そんな風にして、ロボットの解体作業が終わるまで、一向はその場に留まった。

 クインタ:「で、どうする、まだ行くか?」

 はぁはぁ。人使いが荒いぞ。と、クインタが型で息をしている。
 ひとまず、宝…のような物は手に入ったが、どうする?

 レンヌ:「そうですね、もう帰りましょうか。
      面白そうなものも手に入りましたし」
 エディン:「確かに、持って帰って調べて見たいですね」
 田中:「もう十分だろう、帰ろう…」

 他の三人は、もう帰ろうと言った。
 もちろん、クインタも賛成だった。
 
 レンヌ:「売物になると良いんですけどね」

 ファクトリーの主任代行が、嬉々として荷物を袋に詰めて背負っている。
 耳を澄ますと…いや、澄まさなくても、さらにロボット達が集まってくる足音が聞こえていた。
 4人は足早に潜水艦まで戻って、機獣遺跡を後にした。
 普通に4人で入るにも狭かった潜水艦は、荷物を積んだらさらに狭くなってしまった…

 3.解析結果

 それから数日後、某所にあるトーブ家ファクトリー・ソーン支店である。
 この前、機獣遺跡から持ち帰ったロボットの残骸の解析が終わって、エディンが他のメンバーに報告をしていた。
 テーブルには、ロボットの残骸の一部、ロボットの目の部分が置かれている。
 
 エディン:「基本的には、作業用のロボットみたいですね。
       自動で施設の手入れをしてくれるみたいです」
 
 クインタ:「そういえば、天井の灯りとか治してたよな…」
 
 地味に遺跡の修繕を行っていたロボットの姿を思い出した。
 何かの事故で街全体が水に沈んだ後も、内部の施設ではロボット達が活動を続けていたわけである。

 レンヌ:「OSを応用して、家事ロボットの新バージョンみたいなのでも開発出来ないです?」

 レンヌがエディンの方を見ている。

 田中:「がんばれ、兄上」

 田中が義理の兄…つまりは、エディンの方を見ている。
 エディンは二人から目を逸らした。
 結局、4人が機獣遺跡を訪れた時に何体かロボットを行動不能にしたりもしたのだが、それらのロボットも、他のロボットによって修繕、あるいは再配置されている事だろう。
 機獣遺跡のロボット達は、きっと、いつまでもそうやって、主が居なくなった遺跡を守り続けていくんだろう。
 ロボットの残骸を見つめながら、4人はしばらく機獣遺跡の事を考え続けていた。

 (完)

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(ライター通信もどき)

毎度ありがとうございます、MTSです。
今回は、特に細かい指定がありませんでしたので、ファクトリーで使えそうな物を探しに行くイメージで書いてみたのですが、いかがでしたでしょうか?
ともかく、おつかれさまでした。また、機会がありましたらよろしくお願い致します。

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