信州紀行その5

 

 松本市の北西に位置する安曇野は、北アルプスの山麓に広がる自然豊かな田園地帯であると同時に、

 たくさんの美術館が点在する芸術の里でもあります。

 信州の旅の最後は、安曇野のわさび園と美術館をめぐります。

 

             

 安曇野の美術館群の中でも先駆的存在と言えるのが、穂高町の碌山美術館。この土地の出身で近代彫刻家として名高い荻原碌山(守衛)の作品と資料を公開し、昭和33年に誕生しました。安曇野の美術館をめぐる人々が必ず訪れる人気スポットです。

 

 安曇野では、北アルプスからの豊かな湧き水を利用したわさび栽培が盛んです。今回訪れた大王わさび農場は、その中でも最大規模のわさび園。日野庵主人も、この規模の大きさには驚きです。

  

 

     

 日除けの黒い布の下を覗くと、さらさらと流れる澄みきった湧水の脇で、わさびの濃い緑の葉が心地よさそうに揺れていました。見学の後は、特製わさびソフトクリームでのどを潤した日野庵主人でした。ちなみにこのわさびソフト、おすすめです。

 

 道端には、どことなくユーモラスな道祖神が……。きっと私たちの旅の安全を見守ってくれているのでしょう。

 

 

     

 わさび園の近くには、こんな風景も。まるで日本人の共通した故郷といった感じで、私たちの心の中にある懐かしいものを呼び覚ましてくれます。ただ、一見昔からあるような水車は、黒沢明監督の映画『夢』のロケの際に設置された撮影用のものだそうなので、お間違いなく。

 

 美術館めぐりの二つ目として訪れたのが、安曇野絵本館。林の中にある小さな小さな絵本の美術館です。未就学児童や団体での入館を制限するなど、ゆったりと時間を過ごすことに気をつかっています。入館した人には一人一杯のティー・サービスがあるのも、美術館としては異色。大人のための大人の絵本館です。同居人マキ、絵本購入。

  

 

     

 信州の旅の最後となったのが、1997年に建てられた比較的新しい美術館、安曇野ちひろ美術館です。絵本画家として有名な「いわさきちひろ」は、実は日野庵主人の地元・福井県武生市とも縁のある人物(ちひろは、女学校の教師をしていた母の単身赴任先であった武生で生まれたのです)。ちひろの両親が信州出身だったこともあって彼女が幼い時から親しんだというこの安曇野で、北アルプスの山々を眺めながら、ゆったりとちひろの世界にひたるのも、とてもぜいたくな一時と言えるでしょう。

 

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