2005年5月23日(月)
フィラリア予防と治療

 1ヶ月HP更新遅れました!すいません。骨折やヘルニアの手術も多いし、5月は一番忙しいんですよね。特にフィラリア予防が始まる時期だからです。犬の飼主さんなら皆さんご存知と思います。蚊が犬から犬へ刺して回る寄生虫病です。一応説明しておきますと、1回でも感染すると6ヵ月後には左の写真のように20センチくらいの長さの虫が心臓の右側で寄生します。それからさらに2〜3年かけて20匹、30匹と毎年確実にフィラリアの成虫が増えていきます。やがて心不全を起こして「運動すると疲れやすい」「興奮すると咳が出る」などの症状が出てきます。飼主さんが見て分かるくらいに症状が現れ始めた時には心臓が拡張してもとに戻らなくなった時です。そうなってからでは手遅れなんですね。心臓の薬を使って延命する事は出来ますが、完治する事はありませんし、寿命にも影響します。

 ですからフィラリア症にならないように予防する事が大事なんです。
室外犬でフィラリア未予防の場合、1年で50%、2年で80%、3年で90%感染すると言われています。もうほとんど全部ですね。室内犬でも2〜3ヶ月も予防を忘れると翌年には血液検査で陽性反応が出ることか時々あります。「うちの子は室内犬だし、元気もあるから予防しなくても大丈夫。蚊取り線香も炊いてあるし」なんて飼主さんがもっとも要注意です。

 
予防は毎年5〜11月まで動物病院でもらうジャーキーのようなお薬または錠剤をひと月に一個ずつ食べさせてもらいます。たったそれだけの事でフィラリア症は100%予防が出来るんですよ。それだけの簡単な予防を怠ったために心不全を起こしたり、虫が心臓内でからまって急死するワンちゃんがまだまだ多く来院します。

 不幸にもフィラリア症に感染してしまった場合どうするかですが、すでに心不全を起こしてしまった場合は心臓の薬が生涯必要です。
それと心臓内のフィラリア成虫を駆除する事が必要です。以前は注射で駆除していましたが、副作用が多く、当院では比較的安全な内服薬で成虫を駆除しています。すでに数多くのワンちゃんを治療していますが殆どの場合、安全に完全駆除が可能でした。

 フィラリア予防をしていない犬の飼主さんはただちに動物病院で検査を受けて下さい。フィラリア症に感染していなかった場合もありますが、それはたまたま運が良かっただけの事なのです。100%予防可能な病気を予防しなかったために心不全を発症して亡くなっていく不幸なワンちゃんたちが少しでも減少してくれればと思います。

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