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2008年10月22日(水)
ぶどう・レーズン症候群

 最近2例の急性腎不全の犬が嘔吐を繰り返して来院しました。原因の特定は困難ですが、集中的な治療により快方に向かっています。
 海外の文献で、ブドウやレーズンを犬が食べると急性腎不全を起こし、50%は死に至る可能性があることが報告されています。中毒量は体重1kgあたりわずか10〜30gです。原因はブドウそのものかブドウに付着した殺虫剤もしくはカビなのかいずれにしても不明のままです。

 日本でも2年前に長野県の獣医師が同様の報告をしています。
 特に小型犬はわずかな量でも中毒を起こす恐れがあるようです。原因がはっきりするまでは犬にブドウを食べさせない方が良いでしょう。

2008年10月27日(月)
ヒトにも感染する犬レプトスピラ病
レプトスピラ菌

 ここ数年犬のレプトスピラ病を診断する事が時々あります。
 レプトスピラという細菌がネズミの尿などから犬やヒトに移る病気です。この細菌は水の中では長く生きるので、池、下水、汚れた川に犬が入り、粘膜や傷のある皮膚を通して感染します。症状は嘔吐・発熱・食欲低下・肝障害・腎障害などで、早期診断で抗生物質で治療可能な病気ですが、症状が進行すると尿毒症となり、数日で死亡することもあります。
 さらには犬からヒトに伝染するため、愛犬が診断されたら食器などの消毒、糞尿の処理方法に注意が必要です。
ヒトでの死亡例も報告されています。なおヒトからヒトへは感染しません。
 福井県内ではヒトでの感染死亡例は報告されていないようですが、私は丹南地区(越前市、鯖江市、越前町、南越前町)の全域にて犬のレプトスピラ病を年に数回治療しています。助かる事が多いですが約半数の重症例は死亡しています。
 この病気はレプトスピラ病を含む犬8種混合ワクチンによりほぼ予防が可能です。6種以下の混合ワクチンにはレプトスピラ病は含まれていませんので当院では8種以上のワクチンのみを推奨しています。。室内犬でもネズミから感染しますので予防接種が毎年必要です。
 昨日あるテレビ局で、東京都内ではヒートアイランド現象により、中央アジアに生息すべきクマネズミがビル内に大繁殖しており、豪雨洪水によりいつ都内にレプトスピラ病がヒトで集団発生してもおかしくない事が報道されていました。その証拠に去年は都内でも3頭の犬レプトスピラ病が報告されています。昔のような田舎だけの病気ではないということです。
 家畜伝染病予防法により獣医師は各都道府県の家畜保健衛生所に届出をする義務があります。医師もまたヒトの感染が確認された場合に届出が義務化されています。
 私個人の感想としては、福井県内でいつヒトでの発症が確認されてもおかしくない状況と考えています。愛犬を守るため、自分のためにも混合ワクチンを受けて下さい。
 

クマネズミ
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