2009年6月15日(月)
保健所から譲渡されたわんちゃん
 獣医師会との協力で健康福祉センター(保健所)に収容された犬猫を健康診断して、新しい飼主さんを探すのに適切かを診断する「一般譲渡動物健康診断協力事業」に当病院は参加しています。犬猫の一般健診、血液検査、糞便検査を行い診断書を保健所に提出します。

 先日保健所からの依頼で診察をした子犬が新しい飼主さんを見つけて来院しました。傷も治り狂犬病の予防注射を受けて帰られました。こうして尊い命がひとつ救われた事に感謝です。ペットショップで綺麗なわんちゃんを購入されるのもよいですが、保健所にも新しい飼主を待っているわんちゃんねこちゃんがいます。各健康福祉センターで定期的に譲渡会をしていますので、詳しくは福井県HPを参考にして生活福祉課にお問い合わせて下さい。

 10年ほど前に米シカゴで開催された学会に参加したときに、動物を保護し不妊手術をして新しい飼い主を探す「シェルター」という施設を見学する機会がありました。そのシェルターは体育館と思うほど立派な建物で、手術室も完備され、動物のにおいもしないくらい清掃の行き届いたすばらしい施設でした。そこで働くスタッフの方々意識も相当高いのでしょう。さらに驚いたのはその施設がすべて個人や企業の寄付のみで成り立っているのを聞かされたことです。当時は日本では到底考えられないなとペット先進国に関心しきりでした。欧米ではペットを飼う時にまずシェルターに犬猫を探しに行くのが一般的です。日本もそのようになるといいですね。

 ちなみに欧米の方から見ると、ペットショップのガラス越しに見られる子犬や仔猫が狭い個室に入って並んでいる、あの私たちには見慣れた光景が動物虐待に映るらしいです。
2009年6月26日(金)
今年も熱中症が来ました

 先週の日曜日は暑かったですね。夕方にさっそく熱中症のワンちゃんが来ました。部屋においてエアコンをかけてなかったそうです。ICU装置で冷却して酸素を投与し点滴をして翌日には元気に退院しました。その日は他県で1歳の子供が車に置かれたまま熱中症で亡くなったそうです。犬は全身毛があり毛皮のコートを1年中着ています。しかも汗がほとんど出ません。これからの時期は気を付けてあげてください。

2009年7月9日(木)
犬の炎症性腸疾患について
 先週の日曜日に福井市にて講習会に参加してきました。東京大学付属動物医療センターにて消化器内科を専門に診察されている有名な先生の約5時間の講義です。大変勉強になりました。その中で印象に残った話をひとついたします。

 犬の炎症性腸疾患という病気があります。比較的よく見られる病気で未だ原因は十分に解明されていません。慢性進行性の下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振などが見られます。ほとんどの場合は、抗生物質、免疫調整剤、食事療法などの組み合わせで改善しますが、生涯の治療を必要とします。

 しかし柴犬だけは稀に治療しても改善せず数ヶ月で死亡する事があるということでした。実は先日もこれと全く同じ柴のワンちゃんが通院されており、治療の甲斐なく亡くなったそうです。今までこの病気で初めて助ける事が出来ませんでした。比較的新しい海外の文献でもこのような事は記載されておらず、柴犬が助からない事があるというのは新知見でした。

 ここ数年で様々な新薬が開発され動物医療も日々進歩しています。全身に転移した肥満細胞腫という悪性度の最も強い癌でさえ分子標的治療薬で延命可能になりました。10年以上前には考えられなかった事です。いつかはこのような柴のワンちゃんが助けてあげられるような新薬が出てくれることでしょう。
2009年7月16日(木)
犬を自転車のカゴに乗せないで下さい
 パピヨンの前足のレントゲンです。左肘下の骨が2本バラバラになっています。痛々しいですね。自転車のカゴに乗せてトリミングに連れて行くところで落ちたそうです。手術とケージレストで全治2ヶ月程度でしょう。その間は散歩も出来ません。

 先日病院前で診察後に猫を逃走させてしまった飼主さんもいました。幸い無事に数キロの道を自分で(!)家に帰って来たそうです。怪我もなく無事で何よりですが。

 いずれもキャリーケースに入れて運んであげさえすれば防げた事です。小型犬や猫を運ぶ時、病院に来院する時は必ずキャリーケースに入れて下さい。他の飼主さんへのマナーでもあります。
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