先日の福井新聞ONLINEにて、福井県および公益社団法人福井県獣医師会と県内動物病院による傷病鳥獣救護活動が日本一として紹介されました。当院も越前市代表で参加しています。
「福井県は日本一動物にやさしい?人口割り救護個体数トップ水準」
福井新聞ONLINE4月24日(水)7時56分配信
野生復帰を目指して衰弱した鳥や獣を保護する「傷病鳥獣救護」で、福井県の人口1万人当たりの救護個体数が全国トップ水準を維持している。通報の窓口である自治体・警察と県自然保護センター(大野市)との密な連携や、治療する動物病院の積極的な支援が主な要因。盤石な救護体制を築くことで、多くの傷病個体が出る災害時でも迅速な対応が可能になる。一方、有害鳥獣を救護するケースに対しては批判も出ている。
◆年間400個体
県自然保護センターによると、1990年の同センター開設後から救護数が急増。今年3月までのまとめでは2000年度以降、人口1万人当たりの年間の救護個体数は約400で推移し、11年度に初めて全国1位となった。野生復帰率も4〜5割と全国標準レベルを維持している。救護数の2位はヤンバルクイナの保護に取り組む沖縄県。
個体数を押し上げる要因として同センターは、中山間地が広がる本県では野生鳥獣と住民との遭遇機会がそもそも多い上、市町や警察に届け出があれば必ず同センターに連絡が入る点を挙げる。「通報を取りこぼさない仕組みが機能している」と説明する。
通報を受けた同センターは職員が餌をやり、数カ月の歩行や飛行の訓練後、野生復帰を目指す。治療が必要な場合は動物病院に依頼する。
治療は県が県獣医師会に一定額で委託しており、受入数は病院側の判断に任されている。ただ、柴田晴夫会長は「ペットも野生動物も命の尊さは変わらない。予算を度外視して治療に当たる病院が多い」と話す。
同センターは「大量の傷病鳥獣が出る恐れのある災害時こそ、救護体制の真価が問われる。迅速で大規模な救護活動が必要となる」と、普段からの救護対応の必要性を強調する。過去には97年のロシアタンカー重油流出事故で50羽以上の水鳥が助かった。
◆倫理観
県自然保護センターには獣医師などの専門員がいない。通常業務をこなしながらの救護にも職員は「1匹、1頭でも多く野生復帰させたい」と使命感を燃やす。誤って捕獲おりに捕まった生後数週間のタヌキに餌を与え、排尿を促すため下腹部を紙で刺激するなど、つきっきりで世話をしたこともあった。
一方、救護する傷病鳥獣にイノシシなど有害捕獲の対象種が含まれ、野生動物の専門家から批判の声も上がっている。税金を投じて有害鳥獣の個体数を減らしているのに、救護しては矛盾を引き起こすという考えだ。県外には有害鳥獣を救護対象から外す自治体もある。
鳥獣被害に悩む農家の実情に理解を示した上で同センターの水谷瑞希さん(39)は「有害鳥獣を助けるかどうかについてはセンター内でも議論がある。倫理観に絡む問題であり、県民の声を聞きながら慎重に検討していきたい」と話している。
福井新聞
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