2010年7月28日(水)
犬の遺伝病について
 先日は神奈川まで小動物遺伝病疾患の講習会に参加して来ました。犬の遺伝性中枢神経疾患に関するイギリスの神経病専門医Dr.ラスブリッジの特別講演を聴講するのが目的でした。その会場で紹介されたイギリスのビデオが興味深かったので紹介致します。
 
 犬の遺伝病の多くは不適正な品種改良が原因と言われています。ドッグショーで順位を競うために新しい犬種を次々と作り、犬の健康ではなく外見だけを評価するようになったため、誤った美意識に取り付かれ不適正な犬種が生まれてしまったのです。
 
 ダックスフントの足の短さ、ブルテリアの頭蓋骨変形、ジャーマン・シェパードの姿勢異常、ゴールデン・レトリバーの発癌率の高さ、ウエストハイランド・ホワイトテリアのアトピー性皮膚炎、ボクサーのてんかんと脳腫瘍、パグやペギニーズの呼吸困難、自然分娩出来ないブルドッグ、パグの脊椎湾曲、キャバリアの心臓病と脊髄空洞症、ローデシアン・リッジバックの脊椎破裂、バセットハウンドの異常な皮膚の弛みなどが紹介されていました。

 ドッグショーで好成績をあげれば獣医学的に不健康であってもその犬は高値で繁殖に取引されてしまいます。遺伝病を検査して誤った交配を防ぐ事でしか遺伝病を減らす方法はありません。近年は国内でもいくつかの遺伝病が検査できるようになってきました。

 上記のビデオはyoutubeで視聴できますので興味のある方はご覧下さい。講演に来日したDr.ラスブリッジもインタビューに登場しています。胸が痛むかも知れません。

「犬たちの悲鳴」 http://www.youtube.com/watch?v=6mmnJQX4ipQ
原題:Pedigree Dogs Exposed  制作:Passionate Productions / BBC(イギリス) 2008年
2010年8月22日(日)
ついに熱中症がきました

 今年は記録的な猛暑により、7月下旬から食欲低下のワンちゃんが数多く来院しました。いつ熱中症が来院してもおかしくないと思ってはいましたが、ついに死亡患者が出てしまいました。飼主さんは若いパグを夕方4時頃に散歩をさせたらしく、来院時には体温41度以上で触って分かるくらいに熱くすでに心肺停止状態でした。

 
パグやブルドッグなどの鼻の短い短頭犬種は気道が細く、換気があまり得意ではありませんので特に注意が必要です。またパグは足も短いので夕方まで熱せられたコンクリートの真上に顔が近く、人間が感じている以上に暑く感じていたことでしょう。さらに犬はほとんど汗がでません。こういった悪条件が重なり今回の事例となってしまいました。
 
 今年はまだまだ酷暑が続くそうです。特に短頭犬種の飼主さんは気を抜かないようご注意下さい。熱中症の注意点や対処法はコチラを参考にして下さい。

2010年9月17日(金)
鯖江市のペット条例

 今年12月1日から鯖江市ではペットの糞の放置に罰則が施行されることが決まりました。来週は動物愛護週間ですが、それにちなんでお散歩コースとして利用される日野川河川敷ではボランティアの方々が糞の始末をしたり、マーキングポール(おしっこをさせる棒)を設置されたそうです。越前市ではまだそのような条例は無いようですが、罰則がなくても散歩時にはウンチ袋を各自用意して、ペットを飼う方々が肩身の狭い思いをすることがないようお願いいたします。

2010年10月10日(日)
犬猫に咬まれたら

 ある猫の飼主さんから相談を受けました。「自分の猫に咬まれたのですが大丈夫でしょうか?」

 この仕事をしていると私もスタッフもたまには咬まれる事があります。犬猫の口の中には様々な細菌が常在していますので咬傷からの細菌感染により炎症を起こし腫れあがります。犬猫に咬まれたらすぐに医療機関を受診して下さい。
咬んだ犬が1年以内に狂犬病予防接種を受けているかどうかも確認が必要です。

 5月の朝日新聞に、カプノサイトファーガ感染症についての記事が掲載されました。この感染症の原因は、Capnocytophaga属の細菌です。犬や猫の口の中に常在する細菌で、人が咬まれたり引っ掻かれたりすることで感染・発症します。免疫機能が低下している人が亡くなることがありますが、感力は弱く、きちんと予防をしていれば過度に心配することはありません。口移しで食べ物をあげることは避け、触れ合った後はよく手を洗って下さい。

厚生労働省「カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症に関するQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/capnocytophaga.html

2010年11月23日(火)
学会会場で手術用拡大鏡を購入しました

 今週日曜日に大阪の学会に早朝から参加してきました。国内最大規模の獣医学会で数千人の獣医師が全国から参加するそうです。当然会場も巨大で200近い動物医療関連の業者が展示ブースを設けていますので、講演だけでなく治療に役立ちそうな物を展示会場で物色してくることもまた楽しみです。
 左の画像は今回購入した手術用拡大鏡です。ライトもついて術野が2.5倍で鮮明に大きく見えますので繊細な手術に適していますが若干の慣れが必要です。テレビドラマ「医龍」で主人公の心臓外科医が装着しているのと全く同じものです。私はもうすぐ40歳になりますが、目上の先生方は口を揃えたように「45歳になると老眼が始まる」と言います。いまから拡大鏡に慣れておくと老眼になったときに楽だそうですので、今はまだ細かい作業に自信がありますが、5年後の患者さんのために今から練習しておきます。

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