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刃物って?
☆  越前打刃物 ☆

 越前打刃物は昭和54年業界で最初の伝統工芸品の指定を受け、鎌・なた・包丁・鋏が主です。武生の特産品打刃物は鋼の内部組織が微細均一になり切れ味の良い刃物にするため、名の通りハンマーで打ち何度も繰り返し鍛えた鍛錬商品です。

 例えば包丁は刃の形状から両刃包丁、片刃包丁に分かれ、切る物により使い分けします。ハンマーで鍛えられ整形された包丁は焼入れによって硬くなり、材料の性質に応じた最適な温度に加熱をして急冷すると非常に硬い組織になります。このままだと脆いので焼き戻しをし、戻しの温度を変えて切る物に合う硬さの包丁を作ります。刃物作りのポイントは鍛錬、焼入れ、焼き戻しそれぞれの温度とタイミング、そして研ぎです。伝統技法と科学的データーが刃物の切れ味を左右します。


 ☆  良い刃物とは  ☆

1.鋼とは
鉄の分類:
炭素含有量0.02%以下 純鉄
炭素含有量0.02〜1.7% 鋼
炭素含有量1.7%以上 銑鉄(鋳物)

2.ステンレススチールとは
 
元素にステンレスとういうものはありません。鉄にクロム(Cry)を、13%以上入れたものをステンレススチールと呼びます。表面を磨いてやると常にCrが膜をはり、鉄を酸化(錆び)から守るのです。刃物材となる鋼は鋼材としては最上級となります。

3.X金5号とは
 X金5号のXはヴァージンスチールを意味します。ステンレス系の鋼で主な成分として、モリブデンとヴァナジウム。この2つの相乗効果により炭化物を微細化、耐食性に優れ(大変錆び難い)、欠けにくく、よく切れます。

4.クロマックス鋼とは  
 5%クロム、0.8%マンガンを含みと呼ばれる鋼材 『X銀
1号』を心とした複合材で特徴としては炭素鋼と比べ耐食性、耐熱性において遥かに優れ、永切れ砥石研削性に優れています。

5.ダマスカス鋼とは
 ダマスカス鋼は、溶解させた鋳鉄を耐火容器の中でゆっくり凝固する際に、内部結晶の作用によって融点の違う鋼が別々に結晶化したことにより模様が発生した鍛鉄ですが、ダマスカス鋼は一般的に鋼と鍛鉄などの異種金属を鍛練して模様を生み出した材料で、この模様は特に炭素濃度や鋼材の硬度の違いから発生し模様の出し方に色々あります。

6.ステンレス鋼における添加元素の効果

元素名

得られる効果

炭素(C)

種々の元素と化合物を作り、硬さ強度を増す。
1.5%以上になると脆さが目立つ

クロム(Cr)

ステンレス鋼における基本元素で、12%以上加えると耐食性が著しく増す

マンガン(Mn)

高温強度、耐軟化性を増す。

モリブデン(Mo)

粘り強くなる。刃こぼれがおきにくくなる。研ぎあがりがよい。

バナジウム(V)

粘り強くなる。組織を微細化し、欠けを防ぐ

タングスン(W)

強力な炭化物を作り、焼き戻し抵抗性、強度、熱間強度を増す。

厳選された良い材料、正確な焼入れ、良い研ぎの三拍子がそろって良い刃物となります。